雪上訓練(富士山) [訓練]
2017.1.7(土)〜8(日)
富士山では今シーズンに入り、立て続けに滑落事故が発生しています。
天気の良い日が多く、雪山に入る登山者が多かったことが
一因としてあげられています。
さて、ビール隊長は冬はおろか、夏にも富士山に登ったことはありません。
「あれは登る山ではなくて、見る山さ」
とうそぶいて来ました。
今回は雪上訓練なので5合目どまりです。
調べてみると、この辺りまでは車でも行けるそうではないですか(良かった〜!)。
滑落することはなさそうですが、初めての富士山、それも冬。
不安を感じながら出かけました。
※写真では無雪状態ですが、下山途中から雪が降り始めました。
麓の河口湖町でもひと晩で43cm積もったそうなので、十分な注意が必要です。
1泊2日の行程です。
富士急行の富士山駅(旧 富士吉田駅)で集合。
自家用車で馬返しまで向かい、ここから吉田口登山道を歩き始めます。
佐藤小屋に着いたら初日の行程は終了。
2日目は昼過ぎから天気の崩れが予想されるため、早めに雪上訓練を開始。
正午前後にピストンで馬返しまで降りる予定です。
■初日(馬返〜佐藤小屋)
馬返しの駐車場。
この時点で、雪はまったくありません。
夏には仮設トイレがあるそうですが、この時期には撤去されていました。
【13:13】
登山計画書の提出ボックスがあるので、登山の始まりはここから。
【13:23】
厚着をしている人たちは、この後で早々に衣服調節をしていました。
【13:36】
サーマレストを持っている人は、もの好きなことにテント泊です。
【14:04】
道のど真ん中にあるこの窪みは、いったい何でしょうか?
調べてみました。
これは「浸透桝」と言って、雨水や春の雪解け水を地下に流し込むための
ものだそうです。
これがないと登山道が洗掘されてしまうのでしょう。
【14:38】
三合目 見晴茶屋跡
この先も五合目までは多くの山小屋がありますが、全て廃墟となっています。
そんな姿を見ると寂しさを感じます。
【15:14】
五合目焼印所
焼印所?
焼印って、あの金剛杖にジュッと焼き付ける印のことですか。
この小屋もだいぶ昔に閉鎖された雰囲気です。
眺めは良いです。
【15:31】
焼印所の先の道が、ものすごく凍っていました。
35年間、冬の富士山に通っているというリーダーも、
ここでこんなのは初めて見たと言っていました。
アイゼンを出すのは面倒なので、登山道を避けて歩きました。
【16:12】
佐藤小屋が見えてきました。
■二日目(佐藤小屋〜雪上訓練〜馬返)
佐藤小屋周辺は雪がまったくないので、富士精進線沿いに30分ほど歩いて
スバルライン五合目の手前まで来ました。
ここの斜面にはそれなりに雪がついていますが、少し凍っています。
【08:13】
【08:49】
雪上でショートロープとコンテの練習をします。
3年前、初めての雪上訓練では他のパーティがロープを使っているのを見て、
「すごいことやってる!」
と思ったものです。
【09:10】
滑落停止訓練。
雪面がかなり凍っており、腰を下ろしただけで滑り出して加速していきます。
危険なので灌木でセルフビレイを取り、滑落者をハーフマストで確保します。
【09:56】
ダイナミックビレイを用いた制動の練習。
灌木などでナチュラルプロテクションが取れない高度では、
ピッケルを雪に打ち込みます。
ピッケルからスリングを靴の幅1足分だけ、ヒゲを出します。
そこにカラビナを取り付け、スリングをアイゼンで傷つけないように注意して
踏みつけます。
あとはロープをカラビナに通して肩がらみをするだけです。
ロープを引っ張ることなく、システム全体の摩擦力で滑らかに制動を
効かせることができます。
五合目の背後に八ヶ岳が見えます。
【10:31】
2,000mぐらいの高度のところに雲が出てきました。
【11:18】
正午あたりから天気が崩れるので、雪上訓練を切り上げて小屋に戻ります。
途中、泉ヶ滝で練習にちょうど良いボルダー(岩)と氷があったので、
寄って行きます。
これぐらいの傾斜なら楽しいんだけどね。
ぼちぼち雪が降ってきました。
【13:57】
浸透桝にも雪が積もり始めました。
【14:07】
馬返しの駐車場に戻ってくる頃には、10cmの積雪になっていました。
①外観
奥には警察関係車両。
連日の事故のせいでしょう。
小屋内には救助隊の人がいて、住所・氏名・生年月日を聞かれました。
②受付
小屋関係の方がテレビとこたつで寛ぐ脇を通って靴をしまい、
奥の寝床へと向かいます。
③館内
ビールも発泡酒も同じ500円でした。
マムートのヘルメットが完備。
④広間・寝床
かいこ棚です。
ザックを置くスペースがほとんどありません。
寝袋と毛布が用意されています。
夜間は廊下の照明がついています。
小屋の外も照明がついているので、就寝中のトイレにもヘッドランプは不要です。
⑤食事
夕食は豆乳鍋、汁は薄めで食べやすいです。
具材や汁がなくなってきたら、いくらでも補充してくれます。
最後はとき卵をジャーッと流し込んで、おじやにしていただきます。
当然、ご飯のお代わりも自由です。
朝食は朝からうどん鍋です。
昨晩の鍋の後遺症から立ち直れないのに・・・って思ったのも最初だけ。
みんなでうどんのお代わりを催促していました。
⑥トイレ
富士山の山小屋のトイレは汚くて臭いという印象を持っていました。
少なくともここは違います。
まず暖房が効いていて暖かい!
しかも無臭!
ネポンという会社の泡洗式簡易水洗トイレだそうです。
「便座はヒヤッとするんだろうな」と恐々と腰掛けたら、これも温かいです!
感激しました!
●データ
【評価】 ※各項目とも5点満点評価。
快適さ ☆☆☆☆
食事 ☆☆☆☆☆
トイレ ☆☆☆☆
スタッフ ☆☆☆
総合 ☆☆☆☆
富士山駅前Q-STA地下1階のフードコート。
ここはオーバーウェアを脱いで荷物整理をするのに便利なスペースがあります。
・12時から降り始めた雪は下山時には10cmほど積もっていました。
その後、河口湖町では未明までに43cmも積もったそうです。
1月としては84年ぶりの大雪だったとのこと。南岸低気圧、恐るべし。
我々の下山時にAE社のツアー一行が佐藤小屋に向かって行きました。
彼らは翌日、下山できたのでしょうか。
・これまでに数多くの山小屋に泊まりましたが、佐藤小屋はとても良い小屋です。
食事は美味しいし、トイレも暖かくて清潔。
(よく考えてみればここまで道路が通じているんですよね)
5代目の若社長にその感動を伝えたら、喜んでいました。
「冬しか来ないお客さんもおられるんですよ」
リーダーは「俺も冬しか来ない」だって。
・二日目、雪上訓練を終えて佐藤小屋まで下りてきて休憩をしていたところ、
中高年3人組が下山してきました。
この人たち、なんと九合目まで行ってきたそうです。
「風もなく、雪はしまっていて歩きやすかった」
と話していました。
とは言え、この後に大雪になったわけですから、
一瞬の間隙を縫って行ってきたということになります。
我々が訓練をしていたところでさえ、足を踏み外したら止まらない氷雪面。
危険行為であることは間違いありません。
▼コースタイム
初日: 3時間1分
馬返(13:13)〜<23分>〜(13:36)一合目(13:36)〜<29分>〜(14:05)二合目(14:05)〜<33分>〜(14:38)三合目(14:43)〜<31分>〜(15:14)五合目焼印所(井上小屋跡)(15:24)〜<50分>〜(16:14)佐藤小屋
2日目: 1時間52分
佐藤小屋(12:15)〜<28分>〜(12:43)五合目焼印所(井上小屋跡)(12:43)〜<34分>〜(13:17)三合目(13:17)〜<14分>〜(13:31)二合目(13:31)〜<26分>〜(13:57)一合目(13:57)〜<10分>〜(14:07)馬返
▼使用した靴
Kayland Super Ice Pro
▼使用した地図
「山と高原地図 31 富士山 御坂・愛鷹」
富士山では今シーズンに入り、立て続けに滑落事故が発生しています。
天気の良い日が多く、雪山に入る登山者が多かったことが
一因としてあげられています。
さて、ビール隊長は冬はおろか、夏にも富士山に登ったことはありません。
「あれは登る山ではなくて、見る山さ」
とうそぶいて来ました。
今回は雪上訓練なので5合目どまりです。
調べてみると、この辺りまでは車でも行けるそうではないですか(良かった〜!)。
滑落することはなさそうですが、初めての富士山、それも冬。
不安を感じながら出かけました。
※写真では無雪状態ですが、下山途中から雪が降り始めました。
麓の河口湖町でもひと晩で43cm積もったそうなので、十分な注意が必要です。
行程
1泊2日の行程です。
富士急行の富士山駅(旧 富士吉田駅)で集合。
自家用車で馬返しまで向かい、ここから吉田口登山道を歩き始めます。
佐藤小屋に着いたら初日の行程は終了。
2日目は昼過ぎから天気の崩れが予想されるため、早めに雪上訓練を開始。
正午前後にピストンで馬返しまで降りる予定です。
記録
■初日(馬返〜佐藤小屋)
馬返しの駐車場。
この時点で、雪はまったくありません。
夏には仮設トイレがあるそうですが、この時期には撤去されていました。
【13:13】
登山計画書の提出ボックスがあるので、登山の始まりはここから。
【13:23】
厚着をしている人たちは、この後で早々に衣服調節をしていました。
【13:36】
サーマレストを持っている人は、もの好きなことにテント泊です。
【14:04】
道のど真ん中にあるこの窪みは、いったい何でしょうか?
調べてみました。
これは「浸透桝」と言って、雨水や春の雪解け水を地下に流し込むための
ものだそうです。
これがないと登山道が洗掘されてしまうのでしょう。
【14:38】
三合目 見晴茶屋跡
この先も五合目までは多くの山小屋がありますが、全て廃墟となっています。
そんな姿を見ると寂しさを感じます。
【15:14】
五合目焼印所
焼印所?
焼印って、あの金剛杖にジュッと焼き付ける印のことですか。
この小屋もだいぶ昔に閉鎖された雰囲気です。
眺めは良いです。
【15:31】
焼印所の先の道が、ものすごく凍っていました。
35年間、冬の富士山に通っているというリーダーも、
ここでこんなのは初めて見たと言っていました。
アイゼンを出すのは面倒なので、登山道を避けて歩きました。
【16:12】
佐藤小屋が見えてきました。
■二日目(佐藤小屋〜雪上訓練〜馬返)
佐藤小屋周辺は雪がまったくないので、富士精進線沿いに30分ほど歩いて
スバルライン五合目の手前まで来ました。
ここの斜面にはそれなりに雪がついていますが、少し凍っています。
【08:13】
【08:49】
雪上でショートロープとコンテの練習をします。
3年前、初めての雪上訓練では他のパーティがロープを使っているのを見て、
「すごいことやってる!」
と思ったものです。
【09:10】
滑落停止訓練。
雪面がかなり凍っており、腰を下ろしただけで滑り出して加速していきます。
危険なので灌木でセルフビレイを取り、滑落者をハーフマストで確保します。
【09:56】
ダイナミックビレイを用いた制動の練習。
灌木などでナチュラルプロテクションが取れない高度では、
ピッケルを雪に打ち込みます。
ピッケルからスリングを靴の幅1足分だけ、ヒゲを出します。
そこにカラビナを取り付け、スリングをアイゼンで傷つけないように注意して
踏みつけます。
あとはロープをカラビナに通して肩がらみをするだけです。
ロープを引っ張ることなく、システム全体の摩擦力で滑らかに制動を
効かせることができます。
五合目の背後に八ヶ岳が見えます。
【10:31】
2,000mぐらいの高度のところに雲が出てきました。
【11:18】
正午あたりから天気が崩れるので、雪上訓練を切り上げて小屋に戻ります。
途中、泉ヶ滝で練習にちょうど良いボルダー(岩)と氷があったので、
寄って行きます。
これぐらいの傾斜なら楽しいんだけどね。
ぼちぼち雪が降ってきました。
【13:57】
浸透桝にも雪が積もり始めました。
【14:07】
馬返しの駐車場に戻ってくる頃には、10cmの積雪になっていました。
佐藤小屋
①外観
奥には警察関係車両。
連日の事故のせいでしょう。
小屋内には救助隊の人がいて、住所・氏名・生年月日を聞かれました。
②受付
小屋関係の方がテレビとこたつで寛ぐ脇を通って靴をしまい、
奥の寝床へと向かいます。
③館内
ビールも発泡酒も同じ500円でした。
マムートのヘルメットが完備。
④広間・寝床
かいこ棚です。
ザックを置くスペースがほとんどありません。
寝袋と毛布が用意されています。
夜間は廊下の照明がついています。
小屋の外も照明がついているので、就寝中のトイレにもヘッドランプは不要です。
⑤食事
夕食は豆乳鍋、汁は薄めで食べやすいです。
具材や汁がなくなってきたら、いくらでも補充してくれます。
最後はとき卵をジャーッと流し込んで、おじやにしていただきます。
当然、ご飯のお代わりも自由です。
朝食は朝からうどん鍋です。
昨晩の鍋の後遺症から立ち直れないのに・・・って思ったのも最初だけ。
みんなでうどんのお代わりを催促していました。
⑥トイレ
富士山の山小屋のトイレは汚くて臭いという印象を持っていました。
少なくともここは違います。
まず暖房が効いていて暖かい!
しかも無臭!
ネポンという会社の泡洗式簡易水洗トイレだそうです。
「便座はヒヤッとするんだろうな」と恐々と腰掛けたら、これも温かいです!
感激しました!
●データ
【評価】 ※各項目とも5点満点評価。
快適さ ☆☆☆☆
食事 ☆☆☆☆☆
トイレ ☆☆☆☆
スタッフ ☆☆☆
総合 ☆☆☆☆
ビール隊長の今日の一杯
富士山駅前Q-STA地下1階のフードコート。
ここはオーバーウェアを脱いで荷物整理をするのに便利なスペースがあります。
後記
・12時から降り始めた雪は下山時には10cmほど積もっていました。
その後、河口湖町では未明までに43cmも積もったそうです。
1月としては84年ぶりの大雪だったとのこと。南岸低気圧、恐るべし。
我々の下山時にAE社のツアー一行が佐藤小屋に向かって行きました。
彼らは翌日、下山できたのでしょうか。
・これまでに数多くの山小屋に泊まりましたが、佐藤小屋はとても良い小屋です。
食事は美味しいし、トイレも暖かくて清潔。
(よく考えてみればここまで道路が通じているんですよね)
5代目の若社長にその感動を伝えたら、喜んでいました。
「冬しか来ないお客さんもおられるんですよ」
リーダーは「俺も冬しか来ない」だって。
・二日目、雪上訓練を終えて佐藤小屋まで下りてきて休憩をしていたところ、
中高年3人組が下山してきました。
この人たち、なんと九合目まで行ってきたそうです。
「風もなく、雪はしまっていて歩きやすかった」
と話していました。
とは言え、この後に大雪になったわけですから、
一瞬の間隙を縫って行ってきたということになります。
我々が訓練をしていたところでさえ、足を踏み外したら止まらない氷雪面。
危険行為であることは間違いありません。
データ
▼コースタイム
初日: 3時間1分
馬返(13:13)〜<23分>〜(13:36)一合目(13:36)〜<29分>〜(14:05)二合目(14:05)〜<33分>〜(14:38)三合目(14:43)〜<31分>〜(15:14)五合目焼印所(井上小屋跡)(15:24)〜<50分>〜(16:14)佐藤小屋
2日目: 1時間52分
佐藤小屋(12:15)〜<28分>〜(12:43)五合目焼印所(井上小屋跡)(12:43)〜<34分>〜(13:17)三合目(13:17)〜<14分>〜(13:31)二合目(13:31)〜<26分>〜(13:57)一合目(13:57)〜<10分>〜(14:07)馬返
▼使用した靴
Kayland Super Ice Pro
▼使用した地図
「山と高原地図 31 富士山 御坂・愛鷹」
2017-01-12 11:00
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