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図解 知識ゼロからの林業入門 [書籍]

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「図解 知識ゼロからの林業入門」
関岡東生・監修
家の光協会
ISBN978-4-259-51863-9
1,500円(税抜き)


なぜ、本書を手にしたのか


山を歩いたり山に関する記事を読んでいていて、
こんなモヤモヤ感を抱いていました。

●切り倒された樹木が山の中に放置されているのはなぜなのか

●花粉被害がこれだけ騒がれているのに、
 なぜスギは未だに年間1,000万以上が植林されているのか

●クマとの遭遇事故が増えたり、シカ被害が増えているのはなぜか

●林業を生業とする人が減少したのはなぜか

●いったい、樹木はどのように管理されているのか
 それは以前と現在で変わってきているのだろうか


なかなか良い資料が見つからずにいたのですが、
大型書店(ジュンク堂書店)で本書を見つけて購入しました。

執筆陣は東京農大の教員です。

ちなみに出版社の「家の光協会」って名称、どこかの宗教関係団体みたいですが、
JA(農協)グループの出版団体です。


読んでみて


日本の国土面積の7割は森林で占められており、その4割が人工林となっています。

これは明治期以降1960年代まで、大量の木材を安定供給するため、拡大造林政策が
取られてきた結果です。

計画的な生産ができて成長の早い、スギ、ヒノキ、カラマツを中心とした
針葉樹が植林されてきました。

しかし、輸入木材が低価格を武器にシェアを拡大し、50年前には90%以上あった
木材自給率は近年増加傾向にあるとはいうものの、30%前後にとどまっています。

日本の森林には、およそ65年分の木材需要をまかなえる木材資源が存在します。

人工林は人の手による育成が必要です。人の手が入らなくなると、
間伐されない森林は陽が当たらないため、下草が育ちません。

そのため、鹿、猿、猪などが下草を食べ尽くすとエサが育たないため、
エサを求めて里山や人の住む領域に降りてくるようになったそうです。

造林政策によって増えた人工林をどうしていくのか、林業離れを前提にした戦略が必要です。

そのためには育成生産過程を担う森林所有者と、伐出生産過程を担う製材業者の双方が
数十年という長い時間の単位で生産意欲を失わなずに次世代に資産を継承していく
ことのできるモチベーションづくりが不可欠なんですね。

一登山者にすぎない自分に何ができるのか、引き続き考えてみたいです。


さいごに


日本の社会システムの多くは人口増加、経済成長を前提としています。

前提条件が崩れた今、エコシステムだけが古いモデルのまま回っていて、
どんどん負のループに陥っています。

本書を読んで、林業もその一つのように思いました。

植林をしても材木需要が増えていないのであれば、過剰になるのは明らかです。

次の時代のモデル構築が待たれます。

本書は冒頭の疑問に全て答えてくれるわけではありませんが、
林業全体を俯瞰し次にどの分野の書物を読めば良いのか指針を与えてくれました。

本書を読んだ後は、森林インストラクターの木下直さんのサイトが参考になります。

森林・林業学習館
http://www.shinrin-ringyou.com


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