天狗岳 [山行]
2017.12.23(土)〜24(日)
毎年、冬と夏に1回は行っている天狗岳に行ってきました。
今年の冬は北日本の積雪の多さが報道されていますが、八ヶ岳の雪は例年にも増して少なかったです。
今回は唐沢鉱泉に宿泊します。茅野駅から唐沢鉱泉まで送迎バスがあり、宿泊客は事前予約をすると利用できます。茅野駅〜唐沢鉱泉は35分ほどです。
このように、三井の森の先の林道までは雪がありません。
※唐沢鉱泉は1〜4月の期間は休業になるので、営業期間をHPで確認が必要です。
(初 日)唐沢鉱泉周辺を散策
(2日目)唐沢鉱泉〜中山峠〜東天狗〜西天狗〜東天狗をトラバース〜中山峠〜唐沢鉱泉
■初日
唐沢鉱泉前は昨年の同時期よりも雪が少なかったです。
12月最後の週末は毎年、某ツアー会社のツアーが入るので、温泉が占有されてしまいます。そこで、周辺を散策して時間を潰してからゆっくりと温泉に浸かることにしました。
八方台に向かう分岐まで行ってみます。
道をそれて遊ぶ図。
八方台に向かう分岐。明らかに雪が少ないです。
宿に戻り、温泉に浸かって休憩したらばすぐに夕食になりました。
別注文で猪鍋や鹿肉も頼めるけど、普通の食事だけでも食べきれない量です。
今日の唐沢鉱泉はお客さんが多く、30人ほどが宿泊していました。
山友のYさんと部屋で宴会をしていたらあっという間に22時に。翌日は7時過ぎに出発なので、朝食は30分早めた6時半にしてもらいました。
■2日目(唐沢鉱泉〜東天狗〜西天狗〜唐沢鉱泉)
唐沢鉱泉から天狗に登るには黒百合ヒュッテ経由と、南周りで西尾根を歩く2ルートあります。冬季なので、途中で休憩を取れる黒百合ヒュッテ経由のピストンとしました。
唐沢鉱泉の前の道をしばらく直進して、右手にあるこの橋を渡ります(小屋を出てすぐにある橋を渡ると西尾根に至ります)。
このようにあちこちで路面がむき出しになっています。黒百合ヒュッテまではノーアイゼンで歩きました。
渋の湯からくる道との合流点です。
このあたりで黒百合ヒュッテ方面から降りてくる人たち数組とすれ違いました。
沢筋を迂回する道との分岐点。この標識が特徴的なので、来るたびに写真を撮って積雪の定点観測にしています。
黒百合ヒュッテに着きました。昨晩は激混みだったようです。宿泊者に聞いたら「2度と泊まりたくない」と言ってました。
激混みを避けたテントもたくさん張られています。
踵の皮が剥けてしまったので、ヒュッテで場所を借りて絆創膏を貼りました。最近は膝を温存するために山にあまり来ていないので、踵の皮が薄くなってしまったようです。
中山峠に向かう道、夏だと木道になっているところです。
中山峠。この先は稜線に出るので防寒対策はここでしておきます。
東天狗(左)と西天狗(右)が見えてきました。中山峠から南下するので、左側の山が東天狗なんです。
稲子岳がよく見えます。いつか登ってみたいと思いますが、脆くて今では登る人も多くなさそうです。
雪が降り積もればこうした岩も埋もれてしまうのですが、アイゼンで乗り越えます。対向から団体客がやって来たので、譲り合って通過します。
東天狗山頂です。この時期の道標は例年だともっと凍りついているのですが、今回は風がなく、まるで無雪期のようです。
蓼科山と北アルプスを望みます。
西天狗に向かいます。
西天狗の手前の道もこんな状態です。
西天狗岳の山頂!
赤岳と阿弥陀岳。
帰りは東天狗をトラバースします。以前にも何度も歩いたことがあったのですが、今回は間違えてしまったようです。
写真の赤矢印のルートを進んだのですが、手前にロープで侵入禁止がしてありました。「あれ、こんなのあったかな?」なんて思いながら進んだら、最初は幅のある道がだんだん狭くなり、最後にはトレースがなくなってしまいました。雪は膝上まであり完全にラッセルです。とにかく斜め上に登って行って登山道に戻りました。正しくは、もう1本上の道だったのでしょう。
青空の下、アイゼンで音を立てながら岩を乗り越えます。
何の足跡?でかい!
唐沢鉱泉前で面白い雲をパチリ。
ハシゴのつららが芸術的。
天狗岳から戻った数日後の27日、大阪の夫婦が強風と雪の為に動けなくなったと警察に通報があり、翌日、根石岳で心肺停止状態で見つかったといういたましい事故がありました。
報道によると、
・茅野市の登山口から入山
・東天狗岳を経由
・本沢温泉に宿泊予定だった
・27日の午後4時前、「強風と雪で身動きが取れなくなった」と宿泊予定の宿に連絡
とのことです。
本沢温泉に宿泊するのに根石岳で発見されたということは、雪による視程不良のために本沢温泉に向かう白砂新道を見落としてしまったのかもしれません。
白砂新道の入り口(9月に撮影)。
27日は寒気が南下しており強い冬型の気圧配置となり、天狗岳付近では気温マイナス10度以下、風速20メートル以上の南西の風がふく厳しい状況だったと思われます。強風と雪で身動きが取れないということは、暴風雪(雪を伴って強い風が吹く)だったということです。
冬の天狗岳は入門者も多く、ツアーも多数組まれています。しかし、東天狗岳から硫黄岳までの稜線は南北に連なっているため、西よりの風(西風、北西の風など、西成分が入っている風)の影響をモロに受けます。霧も発生しやすいところです。
こちらは1月中旬に、箕冠山から根石岳山荘に向かった時の写真です。真ん中に根石岳山荘、そして右から順に根石岳、東天狗、西天狗です。
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(参考)
同じアングルから9月に撮った写真と比べてみると、違いが歴然とします。
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根石岳山荘に泊まりましたが、夜通しすごい風の音がして、屋根も何やらバタバタと音がしていました。
小屋が凍りついている感じが分かると思います。
この時期、強い風に長時間吹かれると、低体温症になるリスクが高くなります。
稜線に出る手前の中山峠や箕冠山などで風と雪の状況を確認し、場合によっては引き戻す判断が必要です。また、簡単な山だからと侮らず、登山計画をしっかり作成し、通過点に予定時刻までに達せなかった場合は戻ることが必要です(詳細は猪熊隆之氏の書籍をご覧ください)。
私たちが登った日は好天で風もほとんどありませんでしたが、その翌日には爆弾低気圧が発達して北海道から北日本の天候は大荒れになりました。
山に登る日の風の状態がどうなるのか、地上天気図の等圧線から傾向を読み取ることは難しくないのでぜひ心がけたいものです。
毎年、冬と夏に1回は行っている天狗岳に行ってきました。
今年の冬は北日本の積雪の多さが報道されていますが、八ヶ岳の雪は例年にも増して少なかったです。
アクセス
今回は唐沢鉱泉に宿泊します。茅野駅から唐沢鉱泉まで送迎バスがあり、宿泊客は事前予約をすると利用できます。茅野駅〜唐沢鉱泉は35分ほどです。
このように、三井の森の先の林道までは雪がありません。
※唐沢鉱泉は1〜4月の期間は休業になるので、営業期間をHPで確認が必要です。
行程
(初 日)唐沢鉱泉周辺を散策
(2日目)唐沢鉱泉〜中山峠〜東天狗〜西天狗〜東天狗をトラバース〜中山峠〜唐沢鉱泉
山行記録
■初日
唐沢鉱泉前は昨年の同時期よりも雪が少なかったです。
12月最後の週末は毎年、某ツアー会社のツアーが入るので、温泉が占有されてしまいます。そこで、周辺を散策して時間を潰してからゆっくりと温泉に浸かることにしました。
八方台に向かう分岐まで行ってみます。
道をそれて遊ぶ図。
八方台に向かう分岐。明らかに雪が少ないです。
宿に戻り、温泉に浸かって休憩したらばすぐに夕食になりました。
別注文で猪鍋や鹿肉も頼めるけど、普通の食事だけでも食べきれない量です。
今日の唐沢鉱泉はお客さんが多く、30人ほどが宿泊していました。
山友のYさんと部屋で宴会をしていたらあっという間に22時に。翌日は7時過ぎに出発なので、朝食は30分早めた6時半にしてもらいました。
■2日目(唐沢鉱泉〜東天狗〜西天狗〜唐沢鉱泉)
唐沢鉱泉から天狗に登るには黒百合ヒュッテ経由と、南周りで西尾根を歩く2ルートあります。冬季なので、途中で休憩を取れる黒百合ヒュッテ経由のピストンとしました。
唐沢鉱泉の前の道をしばらく直進して、右手にあるこの橋を渡ります(小屋を出てすぐにある橋を渡ると西尾根に至ります)。
このようにあちこちで路面がむき出しになっています。黒百合ヒュッテまではノーアイゼンで歩きました。
渋の湯からくる道との合流点です。
このあたりで黒百合ヒュッテ方面から降りてくる人たち数組とすれ違いました。
沢筋を迂回する道との分岐点。この標識が特徴的なので、来るたびに写真を撮って積雪の定点観測にしています。
黒百合ヒュッテに着きました。昨晩は激混みだったようです。宿泊者に聞いたら「2度と泊まりたくない」と言ってました。
激混みを避けたテントもたくさん張られています。
踵の皮が剥けてしまったので、ヒュッテで場所を借りて絆創膏を貼りました。最近は膝を温存するために山にあまり来ていないので、踵の皮が薄くなってしまったようです。
中山峠に向かう道、夏だと木道になっているところです。
中山峠。この先は稜線に出るので防寒対策はここでしておきます。
東天狗(左)と西天狗(右)が見えてきました。中山峠から南下するので、左側の山が東天狗なんです。
稲子岳がよく見えます。いつか登ってみたいと思いますが、脆くて今では登る人も多くなさそうです。
雪が降り積もればこうした岩も埋もれてしまうのですが、アイゼンで乗り越えます。対向から団体客がやって来たので、譲り合って通過します。
東天狗山頂です。この時期の道標は例年だともっと凍りついているのですが、今回は風がなく、まるで無雪期のようです。
蓼科山と北アルプスを望みます。
西天狗に向かいます。
西天狗の手前の道もこんな状態です。
西天狗岳の山頂!
赤岳と阿弥陀岳。
帰りは東天狗をトラバースします。以前にも何度も歩いたことがあったのですが、今回は間違えてしまったようです。
写真の赤矢印のルートを進んだのですが、手前にロープで侵入禁止がしてありました。「あれ、こんなのあったかな?」なんて思いながら進んだら、最初は幅のある道がだんだん狭くなり、最後にはトレースがなくなってしまいました。雪は膝上まであり完全にラッセルです。とにかく斜め上に登って行って登山道に戻りました。正しくは、もう1本上の道だったのでしょう。
青空の下、アイゼンで音を立てながら岩を乗り越えます。
何の足跡?でかい!
唐沢鉱泉前で面白い雲をパチリ。
ハシゴのつららが芸術的。
気象遭難を防ぐための登山計画
天狗岳から戻った数日後の27日、大阪の夫婦が強風と雪の為に動けなくなったと警察に通報があり、翌日、根石岳で心肺停止状態で見つかったといういたましい事故がありました。
報道によると、
・茅野市の登山口から入山
・東天狗岳を経由
・本沢温泉に宿泊予定だった
・27日の午後4時前、「強風と雪で身動きが取れなくなった」と宿泊予定の宿に連絡
とのことです。
本沢温泉に宿泊するのに根石岳で発見されたということは、雪による視程不良のために本沢温泉に向かう白砂新道を見落としてしまったのかもしれません。
白砂新道の入り口(9月に撮影)。
27日は寒気が南下しており強い冬型の気圧配置となり、天狗岳付近では気温マイナス10度以下、風速20メートル以上の南西の風がふく厳しい状況だったと思われます。強風と雪で身動きが取れないということは、暴風雪(雪を伴って強い風が吹く)だったということです。
冬の天狗岳は入門者も多く、ツアーも多数組まれています。しかし、東天狗岳から硫黄岳までの稜線は南北に連なっているため、西よりの風(西風、北西の風など、西成分が入っている風)の影響をモロに受けます。霧も発生しやすいところです。
こちらは1月中旬に、箕冠山から根石岳山荘に向かった時の写真です。真ん中に根石岳山荘、そして右から順に根石岳、東天狗、西天狗です。
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(参考)
同じアングルから9月に撮った写真と比べてみると、違いが歴然とします。
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根石岳山荘に泊まりましたが、夜通しすごい風の音がして、屋根も何やらバタバタと音がしていました。
小屋が凍りついている感じが分かると思います。
この時期、強い風に長時間吹かれると、低体温症になるリスクが高くなります。
稜線に出る手前の中山峠や箕冠山などで風と雪の状況を確認し、場合によっては引き戻す判断が必要です。また、簡単な山だからと侮らず、登山計画をしっかり作成し、通過点に予定時刻までに達せなかった場合は戻ることが必要です(詳細は猪熊隆之氏の書籍をご覧ください)。
私たちが登った日は好天で風もほとんどありませんでしたが、その翌日には爆弾低気圧が発達して北海道から北日本の天候は大荒れになりました。
山に登る日の風の状態がどうなるのか、地上天気図の等圧線から傾向を読み取ることは難しくないのでぜひ心がけたいものです。
2017-12-25 11:22
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